日本にはたくさんの会社がありますが、最も多くの社長を輩出している大学はいったいどこなのでしょうか。
そんな疑問に答える調査結果が東京商工リサーチから12月2日に発表されました。あなたの出身大学は何位でしょうか。もしかしたら、この調査結果は、将来あなたのお子さんが通う大学を選ぶ際の1つの物差しになるかもしれません。
調査の概要
調査名 | 2020年「全国社長の出身大学」調査 |
発表日 | 2020年12月2日 |
調査方法 | 東京商工リサーチの保有する約390万社の企業データベースから、各社の代表者データ(個人企業を含む)の出身大学を抽出して集計。同一人物が複数の企業で社長を務める場合、売上高の上位1社に絞り込み、社長を兼務する重複企業は集計対象外とする。集計対象外の企業は28万2,385社。出身大学が名称変更や大学統合があった場合は存続大学名で集計。 |
備考 | 2010年から開始し、今回が10回目 |
全国社長の出身大学ランキング結果
それでは、さっそく「全国社長の出身大学」2020年版の調査結果を見ていきましょう。
【1位】日本大学:21,253人
栄えある社長の出身大学トップに輝いたのは、おなじみ日本有数のマンモス私立大学『日本大学』でした。調査結果によると、社長の数はなんと、2万1,253人という圧倒的な結果です。さらに特筆すべきは、なんと10年連続で1位を維持しているそうです。
近年の体育会絡みのネガティブなニュースが記憶に残っている方も多いと思います。一昔前に比べるとブランドは大きく毀損されたように思いますが、OB・OGの皆さんは社会に出て立派に活躍されている方が多数いらっしゃるということが分かりますね。ブランドがいくら毀損しようとも、日東駒専といわれる中堅大学群の筆頭としての面目は守った形でしょうか。
【2位】慶應義塾大学:10,656人
常にライバルの早稲田大学との間で私立大学のトップ争いをしている慶應義塾大学が2位のポジションを確保。言わずと知れた名門大学です。
会社経営者の子弟がたくさん通うお坊ちゃん・お嬢ちゃん大学というイメージも強いですが、意外にも1位の日本大学にはほぼダブルスコアを付けられる結果になっています。ただ、卒業生は日本大学の何分の1という規模でしょうから、輩出効率は当然日本大学よりは良いものだと思われます。
最近では東京歯科大学との合併協議を開始したことがニュースになりました。2008年には共立薬科大学との合併で薬学部を創設した経緯もあり、着々と医療系分野の補強を行っているようですね。
【3位】早稲田大学:10,382人
2位の慶應義塾大学と僅差で3位となった早稲田大学。やはり慶應と早稲田はどこにいってもライバル関係なんですね。
しかし、このランキングでは2015年以降慶應大学の後塵を拝している模様です。少し古いデータですが、Google検索結果によると早稲田大学の在籍者数は約5万2000人、慶應義塾大学は3万3000人強のようです。大学自体の規模からすると慶應に負けるのは悔しい結果だったのではないでしょうか。
とはいえ、早稲田大学も、同大在籍中や出身の企業家を支援するベンチャーファンドを作るなど将来を見越したアクションをとっているようですから、何年かすると状況は変わってくる可能性は十分あるでしょう。OB・OGの優秀さに疑いはありませんから、今後も上位争いが楽しみですね。
【4位】明治大学:8,413人
4位にはGMARCHの雄、明治大学がランクイン。もともと伝統ある名門校でしたが、一昔前のバンカラなイメージから脱皮し、近年ではGMARCHの中で最も人気が高い大学となってきたようです。社長の輩出数を見ても伝統校、難関校であることを証明していますね。
看板学部は政治経済学部、法学部、商学部。さらに、最近では情報コミュニケーション学部、国際日本学部、総合数理学部といった新しい分野にも力を入れていることが志願者数を増やしている理由のようです。
【5位】中央大学:7,702人
1885年創設の歴史ある名門大学の一つ、中央大学が堂々の5位。在籍者数も3万人を超えるマンモス大学の一つです。GMARCHでは2位のポジションを確保しています。
中央大学といえば難易度で早慶に迫る法学部がなんと言っても看板ですが、総合政策学部や国際経営学部といった学部も難易度が高くなっています。
ただ、GMARCHの中では明治大学、立教大学、青山学院大学といった高いブランド力を持った大学に遅れをとっているイメージも。とはいえ、経済界に優秀な人材を多数輩出していることに変わりはありません。また、2023年には多摩から都心への移転を計画していることも発表されました。今後は難易度が一気に上昇してくる可能性はありますね。
【6位】法政大学:6,212人
6位もGMARCHの伝統校がランクインしました。法政大学も在籍者数3万5000人を数えるマンモス大学です。
歴史、入試難易度ともに上位の大学であることは疑いようがありませんが、やはり最近では同格に扱われるGMARCHの中では下位校と言わざるを得ません。最近ではGMARCHから学習院・中央・法政を除き、上智大学(S)・東京理科大学(T)を加えた「SMART」という括りを早慶に次ぐ難関大学と位置付けることもあるようです。
【7位】近畿大学:5,886人
関西圏の大学で栄えある1位となったのが近畿大学。関東での知名度はそれほど高くありませんでしたが、2002年のクロマグロの完全養殖成功によって世界的に注目され、「近大マグロ」をきっかけに念願の知名度全国区となった印象があります。
関東での知名度はいま一つでしたが、関西を中心に長きにわたり経済界に優秀な人材を送り込んでいることが分かります。
入試難易度はそれほど高くなく、関西の難関私立大学群である関関同立に次ぐ水準。関東でいうと日東駒専と同等くらいの大学だと考えればよいでしょう。
【8位】東海大学:5,776人
8位には東海大学がランクイン。東海大学も有数のマンモス大学の一つですね。入試難易度は決して高くありませんが、教育内容や教育環境には定評があり、非常にお得感のある大学と言えるでしょう。
海洋学部では私立大学で唯一、大型船舶『望星丸』による海洋実習があり、海洋生物の生態をより近い距離で学習することができるとのこと。こういった上位私立大学にはない特色のある学部も魅力的です。
【9位】同志社大学:4,936人
関西圏2位に入ったのは、関西が誇る名門難関大学、同志社。ただ、早慶に匹敵する入試難易度ではありますが、社長輩出数では見劣りすることは否めません。
同志社大学は外国人留学生も多く国際色豊かな環境で学ぶことができます。また、キャンパスには美しい赤レンガ建築物を有する点も魅力の一つです。
【10位】東京大学:4,056人
国立大学として堂々の1位、ランキング10位に滑り込んだのは日本が誇るエリート大学、東京大学でした。入試難易度で同じ国立大学の京都大学と並んで日本の最難関ですが、社長輩出数では私立大学の伝統校に遅れをとる形となりました。
ただ、東京大学の場合、学生数は3万人に満たない規模であること、また、卒業生は官僚や研究者になる割合が他の私立大学とは比べ物にならないであろうことを考えると、さすがと言えると思います。
なお、ライバルの京都大学は同ランキングでは20位(2,487人)となっています。20位までに入った国公立大学は東京大学と京都大学のみなので、やはり国公立大学の中でもこの2校は突出していると言えるのではないでしょうか。
まとめ
この記事では、『全国社長の出身大学ランキング(2020年)』のトップ10傑を見てきましたが、いかがでしたか?
実は、トップ10の順位は昨年から変動がありません。このランキングを見ていると、どうやら社長の輩出数については入試難易度や研究水準といった指標よりも、やはり規模や歴史の長さに左右される傾向が強いように思います。
このランキングは1つのデータとして長期間推移をウォッチしていくには面白いですが、短期的には今後もそれほど大きな変動は起きないでしょう。
それよりも、例えば20代社長輩出数のように世代で切るとか、上場・非上場企業の社長数で切るといった、一工夫のあるランキングが見られるともっと面白いのかもしれません。